#19 争族を回避するために

親子間だからこその難しさ

「息子に継ぐ気がなかったので、社長を社内で選んで進めてきたのだけれど、急に息子が継ぎたいと言ってきて」

 

「親心もあって、社長と息子で話をしたら社長が退職願を持ってきた」

 

「挙句、息子は自分の仕事が忙しいからと言って、結局継ぐことはなかった」

 

このような話を、80代の代表の方がしてくださいました。

 

子供に事業を継いで欲しいという気持ちと、子供には重荷だからこそ事業を継がせたくないという気持ち、一度打診したけれど断られたために生まれた諦めの気持ち、そして自発的に発言に期待する気持ち、など。様々な気持ちの中で、経営者は最善の答えを導き出すべく頭を悩ませます。

子供に事業を継がせたいのですが、どう思いますか?

悩みに悩んだ経営者の方から、突然このような問いかけをいただくことがあります。

 

私が返す答えは、いつも、誰でも、どんな状況であったとしても決まっています。

 

「『継がせるのは辞めよう』そう一瞬でも思ったのであれば、親族継承ではない最善の方法を探しましょう。もしそう思ったことがなければ、親族継承の方向で進めましょう。親族継承ほど難しいものは無いと、経験上考えていますので。」

 

M&Aの助言をしているから、そうやって自分の仕事を作ろうとして言っているんだろう。と思われる方がいるかもしれませんが、それほどに親族継承は複雑にからまった要素を紐解いて、経営体制をつくり上げるのには労力と時間がかかりますし、加えて覚悟も必要だからこそこういった回答をしています。

争族ほど会社を壊すものはない

創業者や現在オーナーシップを持っている経営者が退任したあとにどのような経営権限のシステムにするかを決めずにおくと、資産等をめぐって親族で骨肉の争いに発展することがあります。

 

兄弟げんか、過去の取引基盤を破壊する、新しいことをやろうとして資産を食い潰すなどなど。いままでM&Aの実績にはなっていませんが、見聞きしてきた事例は、枚挙にいとまがありません。

 

親族継承をするなら、早いタイミングから覚悟を決める必要があります。また、第三者等への継承を考える場合は、「事業をどのように継承していくのか?」ということを考えた時が、検討を始めるちょうどよい機会となります。

 

ギリギリで検討を始めると取り得る選択肢の幅が狭まりますが、余裕をもって検討を始めると様々な方法を幅広く検討することが可能になります。

 

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